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痩せたくても痩せられないという人が多い中、逆に太りたくても太れないと悩んでいる人も意外と多くいることをご存じでしょうか?「太りたければいっぱい食べればいいじゃん!」と思いがちですが、それでは栄養バランスが崩れてしまう可能性もあり、健康的とは言えません。

インターネットでもダイエット方法は様々紹介されていますが、太る方法はほとんど目にしませんよね。

そこで、ここでは太りたくて悩んでいる方に、体に負担をかけずに体重を増やせるポイントをご紹介してきます。

太り過ぎと同様に痩せ過ぎも危険!?

たとえ痩せ過ぎていても、太っていなければ病気の心配は無いと思っている人もいるかもしれません。

もちろん太り過ぎは、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などの恐ろしい生活習慣病を引き起こすリスクが高いですが、痩せ過ぎも同様に病気を引き起こす危険性があるのです。

痩せ過ぎると体温が下がる

太っている人は、暑い日には冷房を20℃くらいに設定したり、寒い日でも半袖で生活しているのを見たりしたことがあるかと思います。

どうして太っている人は寒くないのかというと、標準体重の人に比べて皮下脂肪を多く、常に体内で脂肪を燃焼しているため体温も高くなるのです。

一方、痩せ過ぎの人は、ほとんど脂肪が付いていないため燃焼が起こらず体を温めることができないことから、体温も低めになってしまうのです。

低体温は免疫低下を招く

健康な人の平均体温は36.5度~37.1度とされていますが、痩せ過ぎの人は35度台が平均体温であり、いわゆる低体温状態となっています。

体温と免疫力はとても密接に関係しており、低体温状態になると免疫細胞に大きな悪影響を及ぼすことが分かっています。

体調管理をしっかりしているつもりでも、季節の変わり目になると風邪をひいたりする人は、痩せ過ぎが原因で免疫力が低下し病気に罹りやすい状態になっていると考えられます。

特に、がん細胞は体温が35度の時に最も増殖する性質を持っているとされ、体温が1度上がるだけで免疫力は5倍~6倍も一時的にアップするといわれています。

女性ホルモンの分泌にも悪影響が出る

女性の場合、女性ホルモンのバランスが正常であることで体調を整えることができますが、低体温になってしまうと女性ホルモンの分泌にも悪影響を及ぼし、体にあらゆる不調を招く危険性があります。

女性の体は、エストロゲンと呼ばれる卵胞ホルモンとプロゲステロンと呼ばれる黄体ホルモンが、排卵日を境に分泌量が増減することでいつでも妊娠できる体に整えていることができ、妊娠が起こらないと生理がやってくる仕組みになっています。

しかし、痩せ過ぎの人の場合、この2つの女性ホルモンの分泌が低下してしまうためホルモンバランスが大幅に崩れ、無月経・無排卵・生理不順・重度の生理痛など、様々な婦人科症状が現れてきます。

このように、痩せ過ぎになることは、体に様々な悪影響を与えるためとても危険なのです。

そのため、少しでも太って体温を上げる必要があります。

体に負担を掛けず健康的に太るには?

太り過ぎは、体に悪影響を与えることは広く知られていることですが、痩せ過ぎもまた免疫力を低下させるため病気のリスクがあることが分かりました。

痩せ過ぎの人の中には、今すぐにでもなんとか太りたいと思っている人も多いといることでしょう。

ですが、暴飲暴食などで無理に太ったとしても、それは決して健康的な太り方とは言えず、たとえ脂肪が付いたことで今までよりも体温が上昇したとしても、今度は生活習慣病などを引き起こすリスクが高まってしまいます。

痩せ過ぎの状態から太るためには、順序を追って健康的に体重を増やしていく必要があります。

ここからは、体に負担を掛けずに健康的に太るためのポイントをご紹介していきます。

BMI指数を目安にして徐々に体重を増やす

「太ること」と「肥満になること」は、決してイコールではありません。

なぜなら、痩せ過ぎの人が太ることによって健康的な体を作ることができるからです。

では、健康的に太るためにはどうすれば良いのでしょうか?
健康的に太るために参考にしたいのが、「BMI」です。

BMIとはBody Mass Index=肥満指数の意味で、健康的な人の数値は22でありこれが標準数値となります。

この22を基準とし18.5未満は低体重、25以上は肥満に分けられます。

BMIは「体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}」で算出することができます。

BMIの計算方法

BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

例えば、身長150cmで体重が60kgの人の場合は、BMI=60÷(1.5×1.5)=26.66…となり、肥満に分類されます。

健康的に太るためには、BMI指数を計算して自分が今どのくらいの数値であるかを確認し、標準指数の22を目安に体重を増やしていくことがポイントとなります。

食事は炭水化物・タンパク質を中心にバランスの良く摂取することが大切!

ごはんやパンに含まれる炭水化物は、体内で糖質と食物繊維に分解されます。

このうち糖質は、各細胞の燃焼に利用されエネルギーを作り出します。

私達が快適に生活することができたり、活発に体を動かすことができているのは、体の中で十分なエネルギーが作られているからであり、糖質が作られないと十分なエネルギーを作り出せなくなります。

すると、少し動いただけで疲れてしまったり、活力が出ないためやる気も起こりません。

また、脳を動かすために必要なエネルギーは糖質であり、その割合は100%とされています。

よく、勉強などで頭を使った後に甘いものを食べたくなることがありますが、これは脳がエネルギー不足となり糖を欲しているからです。

糖がなくなっても人間が生きる上ではエネルギーが必要不可欠であるため、何とかして補給しなくてはなりません。そこでエネルギーを作り出すために、筋肉(タンパク質)を分解してアミノ酸に変化させ脳や全身に送り届けます。

痩せ過ぎの人の場合、筋肉もあまり付いていない人が多いですが、筋肉からタンパク質を分解できなくなると各臓器からタンパク質を分解するようになっていきます。

こうなると、臓器の機能が低下し危険な状態になってしまいます。

糖質は肥満の原因とされていますが、それはエネルギーを作り出すための必要量を超えて摂取した場合であり、全く摂取しないのはエネルギーが作り出せなくなるため、逆に体に悪影響を与えるのです。

こうした理由から、人間が活動するために必要な分の炭水化物を摂取することが大切なのです。

痩せ過ぎの人は、ご飯やパンなどの炭水化物を1日3食きっちりと食べるようにし、食べるときには一度にたくさんの量を摂るのではなく、適量を毎日きちんと食べることがポイントです。

健康な体を作るには筋肉を付けることも重要なことです。筋肉の元となっている栄養素がタンパク質であり、人間の成長や健康を維持するうえで必要不可欠なアミノ酸に分解され、筋肉を構成していくのです。

タンパク質には、動物性タンパク質と植物性タンパク質の2種類があり、特に摂取したいのが良質なタンパク質です。

良質なタンパク質とは、体の中でアミノ酸に分解された際にその利用率が高く、必要に応じて再びタンパク質を合成できる性質を持っています。

特に体内で合成することができない必須アミノ酸をしっかりと含んでいるものが理想です。

良質なタンパク質を含む食材としては、赤身肉・鶏肉(ムネ肉・ささみ肉)・大豆・卵・青魚などです。

また、適量の脂肪分も摂取するのが好ましく、脂肪分においても良質な脂肪を摂取することが大切です。例えば、無塩のナッツ類(特にアーモンド)・オリーブオイル・アボカド・青魚などです。

これらの食材を上手に組み合わせて、栄養バランスの良い食事をしっかりと摂取することで、健康的に体重を増やしていくことが可能です。

1日に必要なカロリーはどのくらい?

摂取カロリーは食事の内容によって変わるため、1日どの程度までカロリーを摂取して良いのか分かりませんよね。

栄養があるものでも食べすぎるとカロリーオーバーになるため、自分に合った必要量を知る必要があります。そこで、1日に必要な推定エネルギー必要量を計算してみましょう。

推定エネルギー必要量は、「基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル」で算出することができ、このうち基礎代謝量とは、早朝の空腹状態にリラックスできる空間において安静にしていた時の代謝量をさし、基礎代謝基準値と参照体重を掛けることで算出できます。

①男性の場合(18歳~49歳)

  • 18歳~29歳:基礎代謝基準値24.0kg/日×参照体重63.2kg=基礎代謝量1,520kcal/日
  • 30歳~49歳:22.3kg/日×68.5kg=1,530kcal/日

②女性の場合(18歳~49歳)

  • 18歳~29歳:22.1kg/日×50.0kg=1,110kcal/日
  • 30歳~49歳:21.7kg/日×53.1kg=1,150kcal/日

基礎代謝量が計算出来たら、今度は身体活動レベルをチェックしましょう。

身体活動レベルとは、1日の総エネルギーを1日の基礎代謝量で割ることで算出でき、レベルには活動の大きさによって1~3に分類されます。

レベル1
座っていることが多く活動が静かな状態
レベル2
座っていることが多いが、時々立ち作業・買い物・家事・適度なスポーツをする状態
レベル3
基本的に移動が中心、またはスポーツ選手のように習慣的に体を動かしている状態

この3つのレベルから自分が該当するものを選び、身体活動レベル数値を導き出します。

18歳~49歳までの身体活動レベルの数値は男女共通で、レベル1:1.50・レベル2:1.75・レベル3:は2.00となります。

この2つの数値を掛けることによって、その人の推定エネルギー必要量を導き出すことができます。

例えば、25歳の女性でレベル2の生活をしている人の推定エネルギー必要量は、1,110kcal/日×1.75=1942.5となり約1,943kcal/日が目安の摂取量となります。

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筋肉を付けて健康的に体重アップ!

筋肉を付けることはとても大切なことで、筋肉が付いていると脂肪の燃焼効果がアップするため太りにくい体質になります。

そのため、つい炭水化物を摂り過ぎてしまった場合でもすぐに皮下脂肪となることはありません。

また、新陳代謝もアップするため血行が促進され、痩せ過ぎの人に多い冷え症が改善されます。

また、リンパの流れも改善されることから、体内に溜まった老廃物も効果的に排出されるようになります。

その他にも、免疫力がアップすることから病気に罹りにくい体質になり、季節の変わり目などでも風邪をひきにくくなっていきます。

このようなことから、栄養バランスの良い食事と共に筋肉増大も取り入れていくことをおすすめします。

効果的な筋肉の付け方としては、筋肉トレーニングが効果的です。

また、インナーマッスルを鍛えられるヨガやプラティスなどでも良いでしょう。

これらを1日20分~30分程度行い、習慣づけていくようにします。

理想は毎日行うことですが、難しい場合には週に3回程度は行うように心がけていきましょう。

食が細い人は太るサプリメントも効果的

1日に必要な推定エネルギー必要量が分かっても、食が細くて頑張っても必要量までのカロリーが摂取できないという人も中にはいるかもしれません。

痩せ過ぎていると、胃腸も活動も低下している場合があり、食べてもすぐに胃もたれを起こすことがあります。

このような場合には、「太るサプリメント」でカロリーアップをサポートすると効果的です。

太るサプリメントには、食事からの栄養素不足を補助するタイプと、不足カロリーを補給して1日の必要カロリーを満たすサポートをするタイプの2種類に大きく分類できますが、最近ではその両方を兼ね備えたものも登場しています。

そのため、太るサプリを使用する際には自分の体や体質・用途に応じたサプリを選ぶようにすることがポイントとなります。

栄養不足を補助するタイプは、ビタミン・ミネラル・酵母・必須アミノ酸などがバランスよく配合されており、消化を促進させて空腹状態を作り出して食欲を促進させます。

空腹状態で食事を摂ることで体内への吸収率も向上するほか、サプリに様々な栄養素が含まれているので健康的に体重を増やすことができます。

また、1日の必要カロリーをサポートするタイプは、てんさい等の天然由来の果糖などの良質な糖質が含まれる他、筋肉を作るたんぱく質や必須アミノ酸などもバランスよく配合されているプロテインのようなものです。

カロリーをアップさせる栄養素ばかりなので、食の細い方のカロリー摂取不足も解消してくれます。

太るサプリメントといっても数多く販売されているので、どれにすればよいか迷ってしまうこともあるでしょう。

そんな時は、食事から得られる摂取カロリーや栄養バランスから考慮して選んでいくとこうかてきであり、太るサプリを使用する際も食事と併用することをおすすめします。